rappappanekoのらっぱ日記

あおいのトランペットよもやま話

演奏キャンセル狂詩曲、雑感

もう15〜6年も前ですが、オランダへ演奏旅行に行った時に聞いた話です。

第二次大戦中、ナチス占領下のフランス・パリでは、自由を求める人々がアンダーグラウンドで密かに隠れて、ジャズを聴いて踊ったのだと…

それを聞いてから、私の頭の中では、とあるイメージが膨らんでまして。

 

セーヌ川沿い、ノートルダム大聖堂を暗闇の中見上げる、そんな小さな建物の狭い階段を降りていくと、中では禁酒法時代のスピーク・イージー(もぐり酒場)みたいな、熱いジャズのスイングに合わせてみんな踊っている。ゲシュタポの車のサイレンが表を通ると誰かが合図して、一瞬静かに暗くなるんだけど、過ぎ去ったらまた元のご陽気な音楽が。

隅の方では、海を越えて連合軍がヨーロッパを解放しにもうすぐ来るらしい、いやきっと来る!と侃侃諤諤(かんかんがくがく)。。。

そう、ジャズは自由の国アメリカの音楽!開放への希望!

 

などと、私なんかは想像するのですよ…

(私の中に、小説やドラマで知った知識とイメージが勝手に作った映像なので、史実とは違うと思いますが)

(たぶん何かそういうテレビのドキュメンタリー番組を観た記憶も、ビジョンとして脳内に残ってると思う)

(余談。去年のニューオーリンズ行きからの帰りの飛行機の中で、燃え落ちるノートルダム大聖堂の映像を生中継で見続けて、ショック受けました…)

 

冷戦時代の旧ソ連の「骸骨レコード」然り。

(敵性音楽としてロックなどアメリカ発の音楽が禁止されていた時代、廃棄する医療用レントゲンフィルムを使ってレコード盤を作ってたというやつ。たぶんソノシートみたいなの)

 

人間は、たとえ禁じられても、豊かな感性や想像力、表現したい欲望は抑えきれない。どこまでも芸術を追求する。

たとえ身の危険を冒しても!

 

 

 

…なんかここ最近の音楽活動自粛の傾向を、コレとマゼコゼにして、“お上の命令”に猛反発!なお方が結構いらっしゃるように感じてます。

もちろん今年に入ってからの一連の、新型コロナウイルス感染とその対策の件、です。

 

 

 

とある旧知のミュージシャン曰く「自分の演奏は不要不急ではない」と。だから絶対にライブをやり続けると。

「音楽は一期一会」「2度と同じ演奏はできない」「だからこそ一回一回に全てをかける」その、音楽への強いこだわりを理解できるだけに、、、何というか少し冷静になって欲しいような。

 

何だかライブハウスによっても、そういう強い言葉で強行宣言する様子も窺えまして。

また、私が好きだったりお世話になったりしているハコだったりするんですよね。。。

 

 

 

 

「うちのライブはジャズだし、お客様も少なく、皆さん静かに聴くような場所ですよ」…それなら全然、ライブやりましょう。

確かにそこらの混み合った飲食店で外食するよりは、よっぽど危険性は低いでしょうね。

 

でもどうか、演奏を自粛している人やイベントを中止するハコを、まるで意気地無しか変節漢のように言うのは、控えて欲しい。批判を恐れて安全圏に逃げた、などと言われるのは心外。

演奏の環境や人数など考慮に入れると感染リスクが高くなる、だから中止にしたはずなのだから、何でそれが、音楽上のポリシーや圧力に勝つか負けるかとか意志の力の話になってしまうのか、私にはさっぱりわかりません。

 

 

 

取り敢えず一定期間、みんなで動きを止めるあるいは少なくしてみて、感染症の拡大を緩やかにしてみましょう、ってことだと解釈してます。

感染経路や治療方法がきちんと解明・開発されていない、受診や検査へのプロセスも確立されてないかも、重症化や強毒化の可能性もまだわからない。不安と疑心暗鬼。

だからこそ、一旦整理して筋道立てよう、そのために、パニックにならず、感染拡大を最小限に、なのでは。

 

そしてさらにそのためには、きちんとデータとって、事実をきちんと公表して、できるだけ正確な判断材料を揃えるべきです。

経済的なダメージへの、備えもしなくては。

今現在そのお上の役割が、十分果たされているかといえば、私は疑問ですけどね。

信頼感や安心感をもって事にあたれるか、というとそれもどこか曖昧で。

情報も、やたら多かったり煽情的だったり、取捨選択が難しい。

政府や行政がいろんなものを民間レベルに丸投げしてる状況もどうかと思いますが、それでも!

 

想像力を、判断する力を、持とうと強く思います。

 

こんな時個人や家庭レベルで、取るべき言動はちゃんと自分の頭を使いましょうよ。

感染症対策で休校になったら遊びに行って良いと? 罰則がなければ、転売やデマ拡散しても良いと? 咎められなければ咳エチケットしなくて良いと?

(昔々、レッスン仕事行くのに大阪の地下鉄乗ってて、目の前でクシャミされて唾液をビッチョリ顔に浴び!「あ、失礼…」の一言で立ち去ったあのオッサン許すまじ…流石に殺気立ちましたよ〜アレは!睨んで黙殺、きっと般若の顔だったはず。はしたなくて失礼しました!思い出すのも不愉快ですわ。)

 

そして当然、我々ミュージシャンが社会と関わる方法としての「演奏会」「ライブ」「コンサート」についても、こんな時だからこそ、あらゆる努力と手段で、いろんな可能性を探るべきと思います。

開催するなら、検討の結果リスクが低いと明言して、理解を求める。

中止するなら、曖昧な言葉では無く丁寧に説明して、お詫びする。

演奏を「やり遂げる情熱」も「撤退する勇気」も等しく評価されるべき。それが、利己的でなく誠実に考えて判断されたものなら、当然。

 

このままでは私の周りも、ライブ強行・自粛嫌厭派と、苦渋の中止決断・安全優先派のあいだで、不毛な対立が起こっているように見えます。

双方とも「ライブハウス」という言葉に踊らされすぎのように感じます。言葉狩りと逆・言葉狩り、みたいな…

きちんとメディアリテラシーの観点から情報の精査をしていれば、「ライブハウス」が悪いのではない、とわかるはず。

 

 

ストリートパフォーマンスやるしかないか?と自嘲気味のSNS投稿も見ましたが、私はソレある意味賛成。閉鎖空間でないなら、アリなんじゃないかと。今なら繁華街でも相当人出が少ないですしね。(半分冗談、半分本気)

 

 

 

ちなみに3/6時点で、インスタで現地の方とやり取りしてわかったことなのですが、カリフォルニア州(私がやりとりしたケースはサンタクララ郡)では行政主導で、多人数での集会の禁止やダンスホールなどの今月中の閉鎖、見本市などの大規模イベントも中止、が決まったそうです。

私にとっては、

●カリフォルニア沖に停泊中の観光クルーズ船が感染蔓延の疑惑あり

カリフォルニア州地方行政が、ダンスホール閉鎖=大人数集まる場所での演奏活動の中止に強制力を持っている

●合衆国としての感染症対策の特別緊急予算法案の成立

を全て、ネットで同じ日に最新情報として知ったので、仕事が早い!とただただビックリです‼︎ 

それだけ日本の、責任の所在も曖昧なら、トップダウンが致命的に遅い、それが目立つということでしょうけど。

このアメリカのやり方、良い悪いは議論の余地があるでしょうけど、効果は覿面(てきめん)でしょうね。

 

 

 

実は私もこのような中でライブ、します。

 

「体調の悪い人はご遠慮下さい」とか「咳エチケット守ってください」とか、あんまり言いたくないんです。

免疫力の有無や感染の可能性の有無、当たり前のマナーを守るか守らないかで、演奏する側がお客様を選別する、そういうことを言うくらいなら、演奏やめたほうがいいな。

 

私の演奏を聴いていただけるなら、免疫力落ちてる人も、マナーが守れない残念な人も、基本的にはall welcomeですので。

(何回でもあんまり失礼な人はどこかタイミングで遠慮無くお断りしますが、知りもしない人をいきなり門前払いは、逆に失礼でしょ)

 

ということはやめるしかないわけです、万人向けに開放できない催しは。

まあ私の考え方は、基本はその方向ですね。

 

 

 

説教じみたブログ記事になってしまいました。次回はもっと面白い話題を…

 

でもホンマやめましょう、ミュージシャン同士、お互い腐し合いして攻撃し合うのは。

違う考え方や主義主張に、耳を傾ける余裕と賢明さをぜひ。

世界のため、愛する人のため、演奏することもしないことも含めて、音楽ができる最適を取りましょう。

 

音楽をやっている人もやっていない人も、心の平安は保っておきたいものですね。

ピンチはチャンス、大変な時にこそ人間性が見える。

 

 

音楽を自由に楽しめる、平和や安全って素晴らしい。

 

数ヶ月自粛したからって、音楽文化はダメになりませんって。その時こそ音楽への情熱が試される。

 

 

↓そんな中で目の前に迫るライブ&セッション♪ 他流試合かつ異種格闘技、みたいな。そして無観客試合の可能性大。

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私にとってはアウェイな演奏場所や内容で、しかしそれでも、共演者とお店側にはご相談しました。感染リスクは低いと私も考えました。結果、開催。ドタキャンも覚悟の上。

まあズルイみたいですが今回は、私の主催ではなく、コーディネートしていただいての出演なので、主張は控えめにします。。。

演奏する場がある限りは、ベストを尽くします。

 

家のストックの使い捨てマスクを、ご来場お客様に1枚ずつプレゼントしようかな???←考え中〜