rappappanekoのらっぱ日記

あおいのトランペットよもやま話

音楽指導に明るい未来を!

なんて悲しい、腹立たしいことか…

 

ニュースで見ました。吹奏楽部で指導の教師から叱責された生徒が、校舎から転落したとのこと。事故なのか故意なのか、状況は読み取れなかったですが、命がなくなることにはならなかったのがせめてもの救いです。それでもその恐怖と痛みを想像すると、たまらない気持ちになります。

 

記事を読む限りは、合奏で出来ていないことを何度も叱責し、ひとりで別の場所で100回繰り返して練習するように言ったのだとか。普段からその教師の指導を、怖がっている生徒が少なからずいるとの記述あり。

 

 

指導にはある一定の厳しさが要るのは、わかります。私だって、何度言っても伝わらない、やって貰えないのは苛立ちます。一生懸命になってもわかってもらえないのは、やっぱり腹立ちます。がっかりもします。人間だもの。

はっきり厳しく要求するのが必要な時も、あるでしょう。

 

ただ、はっきりさせましょう。真摯に音楽を教えている側はただ“わかって欲しい”のです。

その練習が必要な理由を。こうすれば美しく恰好良い音を奏でることができるんだよ、ということを。皆と合わせる気持ちの良いタイミングを。

そのためにはよく言われることですが、「怒る」ではなく「叱る」ことが必要なのだと!

緊張状態も生じる場面はあるでしょうけど、基本はリラックスして楽しく、音に集中できるように導くのが、指導者の役割でしょう。

そして、何度でも大切なことを、たとえ同じことの繰り返しになっても、根気強く伝えて続けることが、教える者の仕事です。

 

 

上の立場にいるものが自分の感情を思うままにぶつけて、弱い立場の者の言動を思うがままにしようとすることは、それはただの支配欲であって、指導ではないです。

 

回数を重ねる練習方法は大事です。

でも、本人が意味がわかっていない100回繰り返し、要りますか?

100回繰り返したら出来るようになるのではないんです。出来るようになる練習を100回するんです。これだ!という音を掴むために。

怖がって嫌々やらされる練習は、ただの罰ゲーム、嫌がらせです。そこに音楽の喜びは無い。達成感も無い。

 

何がその先生のお気に召さなかったかわかりませんが、恫喝するのではなく、本質を伝える努力はされたのでしょうか。

その生徒の出す音がその音楽の中で、どう求められているのか、きちんと説明して体感させて。そしてわかった!という喜びを一緒に体験して。

 

なんでもかんでも、ハラスメントという言葉で片付ける風潮もどうかと思いますが。

でも、学校の先生という絶対的な立場で、部活動という密室では、責任と自制が必要でしょう。

 

 

経験上、学校吹奏楽は文化系でありながら、運動系のノリ、スポ根崇拝のような気質が生じやすいです。

「さあ、みんな一斉に今から3時間、基礎練習でカンヅメだ!」「言うこと聞かないヤツ、出来ないヤツは、合奏から出ていけ!」「一人で出来るようになるまで、やって来い!」みたいなやり方の方が楽でなので、ついそちらに流れがちです。

(そういえば私が中学校で初めて楽器を手にした時、先輩から「今から新入生は、マウスピースを口から離さずに、30分吹く練習!」って言われてやってたな。。。「廊下を端から端まで全力で走ってから吹いたら、ハイノートが出やすい」というのも伝授された。。。今にして思えば謎練習。。。)

 

一人一人の理解や感情まで行き届いた指導は、手間も時間もかかります。

そして多くの種類の楽器について知識を身につけて、まだ成長期の多数の生徒に教えて、一つにまとめあげることは、大変な作業です。

(申し訳ないけれど…ちゃんと出来ている学校のブラバン顧問の先生は正直少ないです。すべての管楽器打楽器に精通することは至難の業なので当然です。知ったかするくらいなら、各楽器にきちんと専門家の指導をつけるべきです。餅は餅屋。これに関しても僭越ながら一家言有りますが、またの機会に)

 

 

私も学校の吹奏楽部に、主導的な指揮者兼バンドトレーナー、外部からの講師として、臨時のクリニックのお仕事など様々に関わったこともあるので、よくわかります。

言うこときかなかったりサボったり、他に楽しいこともいっぱいな多感な時期の生徒さんたち、難しいです。

それだけに、音楽を形にする喜びや出来るようになる達成感も、また格別なんですけどね!

 

 

今回のニュースになったケースは、これほどの大事にも関わらず、処分が軽いとの批判が出ているそうですが。

教師による生徒への性犯罪などもそうなんですが、密室での人の命や体、精神性を深く傷付ける犯罪には、厳しい罰則と再犯防止に万全を求めます。

 

 

酷い事件を知って思わず、思うがままに書き連ねましたが…

レッスンや学校での指導という、ある意味閉鎖的密室的な環境での人間関係は、心して臨まねばなりません。

音楽の場が、恐怖に支配されないように!

練習も本番も、指導者と生徒が一緒に音楽を楽しめるように!

顧みれば、私も決して成功例ばかりでは無いかもしれません。

自戒を込めて。

 

f:id:rappappaneko:20210419215843j:image