rappappanekoのらっぱ日記

あおいのトランペットよもやま話

父は元らっぱ吹き

先日、実家で父と話していて、私の楽器の修理だの何だのについての話になった時、「そう言えば、俺が持ってたらっぱは…」と話題に上がったので、取り出してみました。

普段は実家のレッスンスタジオのピアノの上に、鎮座ましましています。

 


父は「親に無理ゆうて買うてもろたんや〜。ヤマハより舶来のが良いってゆうて!」と言うロンドンセルマーのインヴィクタというやつです。

今から思えば決して高価なものではない楽器なのですが、うちの父の家は裕福では無かったので…思い入れあるのですね。

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私の父(現在70代)は、京都の某私学の高校で、当時創設したばかりの吹奏楽部の初代部長をやっていたそうです。

人数も少なく上手くもなく、顧問の先生も熱心ではあるものの指導する技術もなく。

そこで近所の某公立高校の吹奏楽部の先生に、部員みんなで習いに行ったりしていたそうです。

その公立校は吹奏楽部もさることながら、野球部が強くて、夏の甲子園に出場するような強豪校。

教えてもらった恩もあるので、部活の夏の合宿を途中で切り上げて、勝ち進んだ甲子園に応援のお手伝いに行ったりもしたそうです。「あの暑さやアルプススタンド、忘れられへんな〜」と懐かしそう。青春ですね〜!

 


実は祖父もアマチュアのらっぱ吹きでした。(いろいろ経緯があり、私自身は祖父とは会わずじまいなのですが)この父の楽器は、祖父がお世話になったとある演奏団体に寄付されました。

しかしそれから何十年も経ってから、ひょんなきっかけで私の手元にやってくることになりました。不思議な経緯なのですが。

 


うちにやって来た時に既に、ハンダ付けが取れてマウスパイプが完全に外れている状態でした。

母屋のリビングでちょっと吹いてみました。

マウスパイプは、とりあえず輪ゴムで括って固定。マウスピースはかなりカップが浅いもの。それ以前にメッキも剥がれて錆がかなり酷いので、これは自分のものを使用。

幸いピストンやスライドは、まあまあ動きます。

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私にとっても懐かしの曲でパッと頭に浮かんだものを順に次々と。フィリップ・スーザの行進曲、これも定番「双頭の鷲の旗の下に」これはちょっと難しい。…父も「ああ、海兵隊やな」「士官候補生やな」と喜んでくれました。

それにしても、若い頃の聴き覚えってすごい。いきなりで結構吹けてしまうもんですね〜。

 


私が、結局らっぱを続けて現在に至っているのは、不思議というか、運命的なのかも?

父や家族に、音楽の道を大きく厳しい反対をされなかったのも、どこかしら理解があったんだと、今更ながらふと思いました。感謝しかないです。

それにしても今のご時世、“茨の道”ですけどね。。。

 


このほとんど博物館級?の楽器そのものについては、またいずれ詳しくアップする予定です。

そして上記の通り、祖父もらっぱを吹いておりまして…そのことも近日、続きとして書いてみたいと思います。