コンディション的な理由で少々インターバルが開いてしまったけれど、当時のメモ書きを元に、入院手術を経て自宅療養しながらの、2ヶ月ぶりの本番で何を感じていたかを記しておこうと思う。
10/8
例によって毎度のことながら、主催者としての本番前はバタバタで。
ステージセッティング、客席の椅子配置、譜面台や配信準備のチェック、受付や掲示物の用意、配信リンクの送信…
着替えや自分の音出しもせねばならぬ。
当日は家を出発する前が、やはり久しぶりの本番前で時間配分をミスってバタバタで、普段はやっている家での音出しウォーミングアップが出来なかった。
前の日はなかなか寝付けなかった。今から思うとやっぱり緊張していたのかも。いつもは効果的めんな眠剤も効かずだった。
他の皆さんにお任せしているリハーサルの間に、独り壁に向かってロングトーン。
リハでやっている曲のコード進行に合わせて音をセレクトして吹いてみる。
この日私は事前に、1曲くらいだけ、アンコールのみくらい、のつもりでいた。リハーサルもその1曲の段取りだけ音出しした。
で、横にいた先輩の
「全然音出てるし大丈夫やから、うちのバンドのステージは全部吹く方がいいで。」
「アカン、マズい、音出えへん、ってなったらこっち振ってくれたら、あとはこっちが吹くから、大丈夫や」
という温かく頼もしいお言葉。で、3回ステージのうちの1回目は全部乗ることに。
最初の曲の出だしだけは、鮮明に記憶に残っている。
りんごの木の下で In The Shade Of The Old Apple Tree
ディキシーを始めてから、何百回も吹いている曲。多分何年も演ってないレパートリーのぶっつけだった。
ピアノのイントロを聴いて、ピックアップの音に集中して、曲が始まればあとは夢中だった。
バンドのサウンドの中に自分がいることが、なんだか不思議な、夢の中にいるような、それでいてリアルでクリアな感覚だった。幸せだった。音楽の中に身をおく喜び。
この日はゲストのミュージシャンも素晴らしく、また私のバンドのメンバーはもちろんそれに応えるに相応しい面々で。私は自分が降りているあいだも、嬉しくてしょうがなかった。
良いプレイ、今ここに生きている音楽、プレイヤーもお客様もみんな笑顔。私が目指していたものが、ここにちゃんとある。
あまりMCには個人的なことは盛り込みたくない、特に今回は病気ということであまり良い話題でもないし、しかしながら「演奏の場に戻って来れて嬉しい!」と言わずにはいられなかった。
メンバーの大先輩からも
「らっぱの最初の音が出た時は、涙出そうになるくらい嬉しかった!」
と。
これが全てのステージだった。本当に。
体調は不安定で痛みもあり、薬にも頼ったし、終わったあとはドッと疲れを感じた。
まだ、歩くのも乗り物に揺られるのも、笑うのさえまだ体は辛く感じる。
でも結局私の企画のイベントは、私のホームなのだとつくづく思う。
幸せな、演奏復帰のシーンだった。
ここまで支えてもらった全ての人に、心から感謝したい。
若い頃の苦労は金を出してもしろ、というのを、ついこの間も友人と話していたのだけれど。
頭の中にある音楽は、消えることはないんやな〜とつくづく。
駆け出しの頃から、それこそいわゆるバイショー(商売、営業などとも言う)仕事で、何百回何千回と繰り返して、街角でパレードで吹いた。
それが全部、この日の演奏の瞬間につながっていたと思う。
ちなみにその場にスタッフとして家人がいたのだけれど、ステージに乗るとちゃんと伝えてないまま本番が始まって何曲も吹いてしまったので、ずいぶんヤキモキさせてしまったみたいだ。
家でもあまりちゃんと、練習できているようには感じなかったようで。
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