rappappanekoのらっぱ日記

あおいのトランペットよもやま話

ミュート紹介 ハーマンミュート

今月はミュートについてもちょっと触れてみたので、これを機会に少しづつ書いてみようと思います。

 

先ずはジャズでよく使うハーマンミュート。

 

ハーマンミュートは、正確には登録商標というか、メーカー名がそのままミュートの種類を表しています。一般名詞としてはワウワウミュート(ステム有りの場合)、チーチーミュート(ステム無しの場合)とか言うこともあります。

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↑これはステムを外したところ

銀色のがアルミ製、銅色のがコパー製

 

そう、最大の特徴は、真ん中に「ステム」と呼ばれる着脱できるパーツがはまっていること。ステムの先を、手で塞いだり開けたりして独特の演奏効果を得られるのです。ちょっとコミカル?

ステムのオープン←→クローズの効果を知りたい方は、吉本新喜劇のテーマとして有名な Pee Wee Huntのバンドが演奏する Somebody Stole My Gal を是非聴いてください!

(私は昔々に、吉本興業主催の音楽イベントに出演する際、この曲を独学?でマスターしました。関西では、必ずウケる鉄板ネタです。トランペット吹かれる方は一発芸としてもどうぞ~)

ステムを外すと、確かにチーチーというような、そしてこもった感じの、哀愁漂う音になります。スタンダードなジャズでは、ほとんどステム無しで吹くのが通例っぽいです。

 

 

残念ながら、直近のビッグバンドの本番ではハーマンの出番は無かったのです。

(なんとハーマンどころかミュートは1種類も使わないことが、直前のリハーサルで判明!!!レアケース当日の荷物が少なくて思わずガッツポーズ!)

 

先日のトラッドジャズの本番では、持っている2種類を1つのステージで使い分けて、吹き心地や音色を実験してみました。

(ビッグバンドやクラシック系で楽譜上でミュートが指定されている場合と違って、自由裁量でミュートが使えるジャンルならではの実験!)

 

 

アルミ製ステム有り:明るい  open-closeの輪郭がはっきりしている

アルミ製ステム無し:チーチー・ジージーと鳴る金属音

コパー製ステム有り:マイルドなワウワウ 鳴りが均一

コパー製ステム無し:こもって柔らかい、遠くから響く音 パワーをかけるとジージー鳴り音程がうわずる

 

改めて並べて続けざまに、取っ替え引っ替えして吹いてみると、違いがよくわかります。

また、吹いてみてその場での感じと、録音して後でチェックした感じも、印象が微妙に異なります。

今まで、「アルミ=薄く柔らかい=軽い音色」「コパー=重い=重厚な鳴り」と思い込んできた面がありますが、今回は良い意味で裏切られたというか、特徴をよく知れたので良かったです。

ただし、、、

“あくまで個人の感想です”。私が奏法的にパワーが足りなくて、コパーミュートは鳴らしきっていない感は有ります。また、今回はバックのコルネットを使っていましたので、楽器との相性はもう少し実験の余地はあるでしょう。

 

ステム有りと無しでは、かなり吹奏感が違います。私自身は、ステム有りの方が音の抜けが良く音程も比較的安定しているので、吹き易いです。ステム無しにすると音程取りづらく、苦手意識があります。

 

 

ミュート類は、音質を変えて演奏効果を上げるモノですが、プレイの難易度をアップさせてしまうものでもあります。大きい原因は「音程の変化」と「抵抗感」です。

(ミュートを“弱音器”と直訳してしまうと、誤解を与えますね。楽器を替える以上に吹奏感に差異を生じる厄介者ですから

「抵抗感」に対処するには、プレイそのもののスタミナをアップする(アンブシュアの強度を上げる)しかないですが、「音程の変化」は、ミュート着脱の都度チューニングスライドをいじることである程度解決のしようがあります。

 

ハーマンを使う時は、チューニングスライドを、普段より1~1.5㎝ほど長く抜くと、音程が取り易いです。

 

私の周りでは、ベストブラス製のワウワウミュートもよく使用されているのを目撃します。プラクティス(練習用)ミュートもそうなんですが、ベストブラスの製品は、音程への影響が少なくて、チューニングスライドを操作しなくても使いやすいと評価する人が多いようです。

が、音色的に自分の目指すものであるか、ビッグバンドなどではセクションとしての音色の要求もあるでしょうし、そのあたり要検討でしょう。ハーマン製だけでもアルミかコパーかの選択肢があるわけですし。

私自身の体験として、実際ビッグバンドのトランペットセクションで、アルミハーマンを使うよう所望されたこともあります。

 

 

ミュートの使用と音程の変化、チューニングスライドの操作については、近々、自分を実験台にして数値化してみたいと企んでいます。

 

 

☆ワンポイントアドバイス

ミュートでプレイする時、きちんと嵌っていなくてミュートが落ちてしまう、ということは実はよくあります。

本来は楽器の合わせて、コルクで密着すると部分を、削ったり張り替えたり、するべきです。

それ以外にミュート装着前に、ベルの部分に息を吹きかけて湿らせると、落ちにくくなります。

師匠には“コルクを舐めて濡らしておく”という方法も聞いたことがありますが私はやったことはありません~。