ここまで現在私が使っている主要な楽器について紹介してみましたが、それぞれ持っている「音色」(ねいろ おんしょく)というものが異なります。
トランペットはじめ金管楽器プレイヤーは皆がそれぞれ、頭の中に音色のイメージをイメージを持っていて、それが出てくる音に直結していると思います。
実際は、プレイヤーの肉体的な能力や楽器に対する吹奏感、楽器本体とマウスピースの持つ特徴や傾向、そしてそれらがリンクしてバランスを取り合って「音色」が決定づけられるのでしょう。
私の音大時代の師匠の言葉「トランペットにおいては、音色がいちばん大事。音色が綺麗でなければ、どんな大きい音や高い音が出ていても、難しいパッセージで指が動いていても、タンギングが速くが吹けていても、全て意味がなくなってしまう」
美しい響き、訴える力を持つサウンド、これはトランペットという楽器のほとんどを占めている、と言っても過言ではないと私は感じています。
(上記の師匠の言葉は「音色が綺麗でなければ…どんな楽団のオーディションにも合格しないよ」と続くのですが。)
「こんな音を出したい」イメージを持つことは、本当に大事です。
吹く前にイメージを持って吹き始めた音は、なんのイメージもなく適当に吹いた音とはまったく違います。
近頃では、インターネットの動画サイトやSNSで簡単に音源が聴けてしまい、それはそれで音楽を広く知るためには便利で良いことです。
反面、録音や録画の音で知った気になって、生音での演奏をじかに身体で感じる体験を、おろそかにしていないか気になる時があります。
私が教えている生徒さんでも、どこかしら音の響きや広がりにイメージを感じられないようなプレイをしてしまいがちなケースが、往々にしてあるように感じています。
特にこれからトランペットをやりたい人や、上達を目指して練習中の人には是非、ライブハウスやコンサートホール、野外のステージ…そして音楽室やスタジオでも良いので、上手なプレイヤーの生のサウンドをたくさん聴いて、楽器の振動や空気の震え、音が遠くまで広がっているその距離感を、できるだけたくさん体感していただきたいな、と願います。
また、合奏の場で楽器同士の音を合わせ、サウンドをブレンドしてハーモニーを作る、その経験を何度でも重ねて欲しいと思います。
「音色」は「音程」と密接に関わってくるのですが…これについては別にまた改めて書いてみようと思います。